着物の織りの種類

織りのおはなし

織りの代表といえば紬です。さまざまな紬があるほか、久留米絣などの木綿、上布や縮などの麻も織りに分類されます。堅牢で実用性が高く、日常着や街着に適します。


紬糸で織ったきもののことをいいます。紬糸は真綿から紡いだ糸で織ったものが上質とされています。
紬の一般的な特徴として、糸の太さが不揃いな節のある糸で織るため、光沢はすくないですが、絹織物独特の底光りのある渋さがあり、地質、染色が堅牢で、着るほどの肌になじみます。
全国の養蚕地帯で織られ、その地方特有の表情があります。
大島紬
鹿児島県を代表する伝統的工芸品です。
大島紬は奄美大島で始まり、その後、鹿児島市周辺にも技法が伝わったため「本場奄美大島紬(産地は鹿児島県本土)」の二種類に分けられます。
泥大島、藍大島、白大島などの種類がありますが、代表的な泥大島は深みのある黒褐色が特徴です。
奄美特有の植物である車輪梅(テーチ木)と泥土を使って染める「泥染め」によるものです。

単位は「マルキ」。経糸総数に占める絣糸(縦絣糸)の密度の単位で、縦絣糸80本1マルキ。この縦絣糸が多ければ多いほど、柄が繊細です。


結城紬
茨城県結城市を中心に作られている織物です。
重要無形文化財の「本場結城紬」と、そうでないものに大別されます。重要無形文化財の条件は、真綿から手で紡いだ紬糸だけを使っていること(糸つむぎ)、特殊な方眼用紙によるデザインをもとに、染めない部分を綿糸でしばる手法を使っていること(絣くくり)、そして、「地機(いざり機)」で織られていることです。
重要無形文化財の指定のないものは「高機」で織られた結城紬で、値頃感があります。

亀甲柄が有名で亀の甲に似た文様で織りあげたものです。反物の横幅1列に亀甲がどれだけ入っているかを表します。単位が多くなるほど精巧だとされます。




牛首紬
石川県白山市白峰地区(旧白峰村)において生産される紬織物をいい、玉糸(玉まゆから作られる糸)で織り上げられた紬で、特有の節と独特の光沢があります。別名「釘抜き紬」とも言われるほど、耐久性に優れているのも特徴のひとつです。


塩沢紬・塩沢御召
真綿を使用しているため光沢が少なく、表面に小さな節があり、それが独特の風合いを出しています。シャリッとする
シャリ感あふれる肌触りは塩沢ならではのものです。


米沢紬・長井紬
山形県米沢市、長井市周辺で織られる紬で、それぞれの地名で呼ばれますが、もともと自家用のものが商品化のされたことから、ほとんど変わりません。特徴は絣にあって、琉球絣に似ているところから、米沢琉球紬(米琉)とも呼ばれます。
高級品に手紬糸、て括りもありますが、一般には絣糸は経緯共に高機を使用して織られます。


村山大島紬
東京都村山市一帯で生産される大島で、本場大島に対抗して作られたことから名付けられました。
この地方の、古い歴史をもつ砂川太織りや村山紺絣の技術を、本場大島と同じ絹糸を使って、大島風にアレンジしたものです。


久米島紬
沖縄は染織の宝庫といわれていますが、なかでも久米島は、紬の産地として知られています。
シックな黒褐色は久米島紬特有のもので、植物や泥で染められることにより、深い色合いが生まれます。
手織りによる素朴な風合いも人気の理由です。



小千谷紬
越後は雪国なので、農家ではその雪に閉じ込められている間、副業としての織物が盛んでした。小千谷紬は経糸に生糸、緯糸に紬糸を使ったものが多く、紬糸は足踏みの素朴な道具を用いて紡いだものです。



信州紬
信濃は養蚕地として有名です。上田紬、飯田紬、小諸紬などがありますが、これらを総称して「信州紬」といいます。絣はなく縞、格子柄の素朴な民芸調の作風が特徴です。



黄八丈
八丈島に自生する草根木皮の汁を染料として、黄色や樺色、黒に生地を染め、手織りで作られたものをいいます。黄八丈をはじめ鳶八丈、黒八丈があり、これらを総称して黄八丈ともいいます。
美しい色合いと丈夫さ、着心地のよさが魅力です。


花織
紺または白地に、白、赤、黄、緑、紫、藍などの色糸を緯にはめ込む方法で、絣、花形、幾何学文様を表します。沖縄の読谷山花織が最も古く、知花花織、首里花織、与那国花織、南風原花織、奄美花織があります。


郡上紬
草木染めを何度も繰り返し行うことによる、深く自然な色合いとツヤが特徴。格子や縞などの幾何学模様が多く、微妙なグラデーションが魅力です。





綿絣

絣はもともと、木綿のものでしたが、のちに絹、御召、紬、上布、芭蕉布に織られるようになりました。しかし一般に絣といったら木綿を指します。
絣は、インドが発祥地といわれ、南洋諸島から琉球に上陸し、九州から全国各地に広まりそれぞれの独自の文様となりました。

久留米絣
織る前に柄を染め分ける織絣に分類され、伊予絣、備後絣とともに日本三代絣のひとつ。丈夫で長持ちし、着るほど
に心地よくなる綿織物です。藍染めが主体です。


琉球絣
沖縄県那覇地方の泥藍を染料とした絣です。鳥、雲などの絵絣が特色です。綿のほかに絹も生産されています。




薩摩絣
鹿児島市周辺で織りだされた藍染の紺絣です。長江本さつまが有名です。男物の細かい絣もあります。




伊予絣
愛知県松山市周辺が産地です。久留米につぐ絣産地で久留米より大衆的、柄の大きい絵絣から蚊絣のようなものまであり、紺絣の他、色絣もあります。



備後絣
広島県府中地方の特産で、機械織で化学染料を使い、黒っぽい紺地に井桁絣に始まって、絵絣も織られています。



弓ヶ浜絣
鳥取県米子市付近の特産です。手紡ぎに正藍染と、化学染料に機械の併用もあり、華やかな絵絣が特色です。





上布・芭蕉

麻のうちでも上質で細かい苧麻(からむし)を用いて織りあげたものです。江戸時代、各地の特産品が藩の経済力を増すために推奨されると、越後、薩摩、能登上布などと産地名が付けられました。麻布を白くする晒法、糸染法、仕上げ法など、それぞれ地方的な特色があります。
芭蕉の繊維で織った布は芭蕉布といいます。


越後上布
新潟県小千谷、十日町、塩沢を中心とした地域で生産されます。苧麻を手で紡ぎ居座機で絣や縞を織ります。糸や布は積雪で晒すのが特色で、薄く滑らかです。これを緯糸に強い撚りをかけて作り上げたのが越後縮、または小千谷縮といって、上布も縮も重要無形文化財に指定されます。
(写真は帯地になります)

宮古上布
沖縄の南端宮古島は、かつて薩摩藩に属したので、薩摩上布ともいいます。すべて手紡、苧麻糸で紺地に絣、紺地に縞の二種類があり、沖縄特産の泥藍で染色します。
その後、松の生葉を入れて煮出した液で煮沸し、澱粉糊に漬け砧で打って仕上げます。表面は滑らかで光沢があり大変軽いです。



芭蕉布
沖縄に産する糸、芭蕉の繊維で織った布で、かつては沖縄の基本的な衣料の一つでした。染料は、車輪梅(テーチ木)や泥藍が用いられ、縞、格子、絣があります。繊維は麻より固く、布に貼りがあり、通風性がよく夏物衣料として最適ですが、数が少なく今は趣味的なものとして貴重視されています。



帯独特の織り

唐織
西陣を代表する織物「唐織」は綾織地の上に多彩な色糸を使い、柄を刺繍のように縫い取りで織り出す技法で、錦地の中で最も高級とされる織物です。

経糸は2400本羽二重、横糸は一寸間に90越以上打ち込まれています。尚、それ以下の経糸打ち込みは唐織とは呼びません。
本物の唐織の最大の特徴は、土台になる錦地が生糸の経糸を使った薄い生地で織られ、そのことによって上絵の浮織がレリーフの様に表現されて出来上がることにあります。それにより織上り品が軽くなるのと同時に、しっかりとした張りのある物になり、長時間のご使用が苦痛にならない安心感が生まれるのです。



綴れ織
手織綴・紋綴は手機(てばた)という機械化された織機、ジャガード織機で織ります。
爪掻本綴織とは手の爪をギザギザに切って横糸を爪で織り込む技法です。
横糸だけで文様を表します。




博多織
博多織は福岡県博多市やその周辺で生産される絹織物です。仏具のひとつである独鈷、華皿を基にした幾何学模様が織られています。江戸時代に筑前藩主だった黒田長政が幕府への献上品にしたことから、博多献上、献上博多とも呼ばれます。
経糸が緯糸を包み込んで、表面には経糸だけ出て、横畝が際立って見える経畝織りという織りになっています。30~60本の細い経糸を使うため、こしやはりがあり、地合が硬く、光沢感があります。きちんと締まり、くずれにくい、締めやすい帯といわれています。









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